こんにちは!ちくわです♪
長期で株式投資を考えた時、安定したリターンを得るためには「分散」が必要です。
分散すると言っても、お気に入りの銘柄を複数持つと言うだけでは、十分な「分散」とは言えません。
十分な分散をするには、「セクター」を意識して分けることが必要です。
景気や金利の状況毎に、各セクターが異なる値動きをするため、各セクターに分散して投資することで、トータルで見た場合、リターンが安定します。
そこで、「セクター」についていろいろと比較してみましたので、投資の参考にしていたければと思います。
セクターとは
株式市場を分析するために分けた、性質の似ている業種をまとめたグループのことです。
ここで言うセクターは、MSCIによって分類された、Global Industry Classification Standard (GICS)を指します。
GICSは、4層の階層型業界分類システムです。 11のセクター、24の産業グループ、69の産業、 158のサブ産業という構成になっています↓
一番大雑把な分類である11セクターはこんな感じになっています↓
この11セクターは米国株式S&P500ではこんなサイズ感で分けられています↓↓
セクターローテーション
この図は、経済状況を金利と景気によって4種類に分けたものです。この4つの相場は時計回りに循環していきます。この4つの相場をそれぞれ得意とするセクターがあることを表しています。
2022年1月現在は、コロナでダメージを受けた経済を立て直すために金利を下がっている状態から、テーパリングが始まり、これから利上げが行われていく状態なので、回復期から好況期へ移る段階かと考えられます。
しかし、半導体不足やコロナ変異株の再流行により景気が悪くなった場合には、右下の後退期に移る可能性もあり、先行き不透明感があります。
それでは順番に各セクターの特徴について、見てみます!
各セクターの代表的な企業を上げていますが、たまに、セクターの見直しが行われ、変更される場合があります。大きなところだと、2018年9月にFacebook、グーグル、ツイッターが「情報技術セクター→通信サービスセクター」に変更されました。今後も見直しが実施されていくと思いますので、注意が必要です。
エネルギーセクター
代表的な企業は、エクソンモービル(XOM)、シェブロン(CVX)です。
エネルギーセクターにまとめて投資するなら、バンガード社のVDEかステートストリート社のXLEです!
インフレに強いセクターですが、原油価格に影響を受けるため、良くも悪くも株価の値動きが激しいセクターです。2021年はこのエネルギーセクターが最も良いパフォーマンスを出しました。
ちなみに、水素や太陽光等のクリーンエネルギーはこのエネルギーセクターの定義に入らないため、含まれません。
脱炭素が進むことを考えるとあまり成長は見込めないかもしれません。
↓↓クリーンエネルギー企業は、こんなセクターに振り分けられています↓↓
・太陽光発電技術で注目されている「エンフェーズ・エナジー(ENPH)」→情報技術セクター
・水素燃料電池の「プラグパワー(PLUG)」→ 資本財セクター
”ICLN“ や “QCLN” といったクリーンエネルギーETFを活用して、これらの企業にまとめて投資できます^^
素材セクター
代表的な企業は、リンデ(LIN)、シャーウィン・ウィリアムズ(SHW)です。
素材セクターにまとめて投資するなら、バンガード社のVAWかステートストリート社のXLBです!
日本で生活しているとあまり馴染みがありませんね。
日本の会社で言うと、旭化成、東洋紡、王子製紙といったイメージのセクターになります。
資本財セクター
代表的な企業は、ボーイング(BA)、キャタピラー(CAT)、スリーエム(MMM)です。
資本財セクターにまとめて投資するなら、バンガード社のVISかステートストリート社のXLIです!
ざっくりとまとめたセクターだけあって、かなり範囲が広いです。
一般消費財セクター
代表的な企業は、アマゾン(AMZN)、テスラ(TSLA)、ナイキ(NKE)、マクドナルド(MCD)、スターバックス(SBUX)です。
一般消費財セクターにまとめて投資するなら、バンガード社のVCRかステートストリート社のXLYです!
このセクターは、消費者の感情によってサービス・商品を購入するかしないか、旅行に行くか行かないかといった影響が大きいため、景気サイクルに最も敏感になります。
消費者が直接購入する最終製品が多いため、馴染みのあるブランド力のある企業が多いです。
レジャー施設と言えば、ディズニーランドですよね!!
でも、この一般消費財セクターに「ウォルトディズニー(DIS)」は含まれておらず、通信サービスセクターに含まれています。
なぜ、あのディズニーが通信サービスなのか?
実は、ディズニーはパークよりメディアからの収益の方が大きいエンターテイメントメディア企業になってたんです。
同業はあのネットフリックスです。
コロナ前の2019年でも売上げの62%、利益の54%はメディアから得ていました。
そして、コロナでパークが大打撃を受け、売上げの74%、利益の94%がメディアに置き換わりました。
ちなみにメディアは、主に以下の3つです。
・サブスク動画配信の「Hulu」
・スポーツ専門チャンネルの「ESPN」
・ディズニー公式動画配信サービスの「Disney+」
コロナ禍でも事業の多角化によりしっかりと利益を確保している超優良企業です。
生活必需品セクター
代表的な企業は、P&G(PG)、コカ・コーラ(KO)、コストコ(COST)、フィリップモリス(PM)です。
一般消費財セクターにまとめて投資するなら、バンガード社のVDCかステートストリート社のXLPです!
このセクターは、景気が悪くなろうと生活に必要なものなので安定して収益を上げることができるため、景気サイクルの影響を受けにくい、ディフェンシブなセクターという特徴があります。
ヘルスケアセクター
代表的な企業は、ユナイテッドヘルス(UNH)、ジョンソン&ジョンソン(JNJ)、ファイザー(PHE)、メルク(MRK)、アボットラボラトリーズ(ABT)です。
ヘルスケアセクターにまとめて投資するなら、バンガード社のVHTかステートストリート社のXLVです!
金融セクター
代表的な企業は、JPモルガンチェース(JPM)、ビザ(V)、マスターカード(MA)バークシャーハサウェイ(BRK-B)です。
金融セクターにまとめて投資するなら、バンガード社のVFHかステートストリート社のXLFです!
金融セクターは金利と景気に大きく影響を受けるセクターです
情報技術セクター
代表的な企業は、マイクロソフト(MSFT)、アップル(AAPL)、NVIDIA(NVDA)、セールスフォース(CRM)です。
情報技術セクターにまとめて投資するなら、バンガード社のVGTかステートストリート社のXLKです!
通信サービスセクター
代表的な企業は、グーグル(GOOG)、メタ・プラットフォームズ(FB)、ウォルトディズニー(DIS)、AT&T(T)です。
通信サービスセクターにまとめて投資するなら、バンガード社のVOXかステートストリート社のXLCです!
通信事業セクターは本来、景気の影響を受けにくいセクターとして認識されていましたが、グーグルやメタの広告収入は景気の影響を受けますし、ネットフリックスやディズニーの動画配信やオンラインゲームは特にコロナによる巣ごもり銘柄として恩恵を受けました。このような特徴があることを考慮する必要があるかと思います!
公共事業セクター
代表的な企業は、ネクステラ・エナジー(NEE)、サザン(SO)、デューク・エナジー(DUK)です。
公益事業セクターにまとめて投資するなら、バンガード社のVPUかステートストリート社のXLUです!
景気の影響を受けにくい、安定した収益が期待できます 。ザ・ディフェンシブセクターです。
不動産セクター
代表的な企業は、アメリカン・タワー・コーポレーション(AMT)、プロロジス(PLD)です。
公益事業セクターにまとめて投資するなら、バンガード社のVNQかステートストリート社のXLREです!
個別株には、日本からはほとんど投資できないため、投資先は絞られます。楽天証券からは「XLRE」くらいしか選択肢がありません。
セクターETF
2社比較
各セクターにまとめて投資できるセクターETFはバンガード社とステートストリート社から提供されています。
2社ともにGICSにより分類されたセクター毎のETFがありますが、少し違います。
バンガード社 | ステートストリート社 | |
組入対象 | 米国大中小企業 | S&P500採用企業 |
経費率 | 0.10%(不動産以外) | 0.12% |
セクター | ティッカー(銘柄数) 設定日 | ティッカー(銘柄数) 設定日 |
エネルギー | VDE(94) 2004.9.23 | XLE(21) 1998.12.16 |
素材 | VAW(118) 2004.1.26 | XLB(28) 1998.12.16 |
資本財 | VIS(352) 2004.9.23 | XLI(73) 1998.12.16 |
一般消費財 | VCR(294) 2004.1.26 | XLY(63) 1998.12.16 |
生活必需品 | VDC(97) 2004.1.26 | XLP(32) 1998.12.16 |
ヘルスケア | VHT(455) 2004.1.26 | XLV(64) 1998.12.16 |
金融 | VFH(394) 2004.1.26 | XLF(65) 1998.12.16 |
情報技術 | VGT(338) 2004.1.26 | XLK(75) 1998.12.16 |
通信サービス | VOX(113) 2004.9.23 | XLC(27) 2018.6.18 |
公共事業 | VPU(64) 2004.1.26 | XLU(28) 1998.12.16 |
不動産 | VNQ(170) 2004.09.23 経費率0.12% | XLRE(29) 2015.10.7 |
経費率は低いに越したことはありませんが、0.1%と0.12%では誤差レベルです。
一番の違いは組み入れ銘柄です。バンガード社は全米企業ほぼ全てからピックアップしているためこれから成長していく企業も含まれます。一方、ステートストリート社はS&P500採用企業から選定しているので、これからの成長というよりは、安定して利益を出している企業と言えるかと思います。
私個人的には
・エネルギー・生活必需品・公共事業・不動産は安定した利益を期待したいので、少数精鋭のステートストリート社。
・素材・資本財・一般消費財・ヘルスケア・金融・情報技術・通信サービスについては新しい技術革新が期待できるため、これから成長していく企業を含んだバンガード社。
がよいかと考えます。
セクターパフォーマンス比較
いろいろな期間を切り取って比較してみました。
最長期間(21年間)で比較しました↓
↑1番:一般消費財、2番:情報技術、3番:ヘルスケア、4番:資本財、5番:S&P500(市場平均)、6番:素材、7番:生活必需品、8番:エネルギー、9番:公共事業、10番:金融、11番:不動産、12番:通信サービス
私個人的には情報技術セクターが1番かと思いましたが、意外にも一般消費財セクターが1番成長しています。アマゾンが引っ張ってきたんでしょうか
そしてグーグルとフェイスブックが含まれている通信サービスは最下位というのも意外な事実。不動産に負けてる。。。
直近5年間で比較しました↓
↑1番:情報技術、2番:一般消費財、3番:S&P500(市場平均)、4番:ヘルスケア、5番:素材、6番:金融、7番:資本財、8番:不動産、9番:通信サービス、10番:公共事業、11番:生活必需品、12番:エネルギー
報技術セクターが1番なのはイメージ通り。市場平均よりも高いのが情報技術セクターと一般消費財セクターだけなのがすごいですね。エネルギーセクターは一人負けですね。
2021年の年初来で比較しました↓
↑1番:エネルギー、2番:不動産、3番:金融、4番:情報技術、5番:一般消費財、6番:S&P500(市場平均)、7番:素材、8番:資本財、9番:ヘルスケア、10番:通信サービス、11番:公共事業、12番:生活必需品
コロナの影響を一番食らったエネルギーセクターが一番伸びていました。エネルギー値動き激しすぎ💦そして2番:不動産、インフレの影響でしょうか。
そしてコロナのダメージが一番少なかった生活必需品セクターは今年のパフォーマンス最下位でした。良くも悪くも安定感あります。
意外にもナスダック100連動のQQQのパフォーマンスが低く見える。
各年のセクターパフォーマンスです↓
↑かなりいい感じにバラバラですね。
スクリーンショットを張り付けているので見づらいですが、引用元のページではセクターにカーソルを当てると、そのセクターだけが浮いて見えるため、是非一度ご覧ください。
これを見てしまうと、特定のセクターが今後伸びるだろうと予測するのが難しいことがよく分かります。
セクター比率
Finviz.comのS&P500のツリーマップです。セクター毎、個別銘柄のサイズが時価総額に比例しています。視覚的に非常に分かりやすいです。左上が一番大きいセクターになります。
各種ETF(代表的なインデックスと高配当系)のセクター比率を一覧にしてみました。
セクターによってかなり偏りがありますね。VTIやVOOが市場平均となりますが、情報技術セクターが28%とかなり大きくなっています。
逆に配当目的としたETFとなると、市場平均と比べるとそれぞれ癖が強めに見えます。
VYMはそれぞれのセクターへ分散が効いている感じがありますね。それがゆえの安定感でしょうか。
偏っているそれでもであればセクター毎のパフォーマンスを気にせず安心して長期運用できそうな気がします。
まとめ
米国株のセクターについていろいろな角度から見てみましたが、いかがでしたでしょうか。
今回この記事を書くにあたり、改めていろいろ調べ、私としても勉強になりました。
特定のセクターに狙いを絞って買ったとしても、それを当てるのは至難の業なので、VTIやVOOを利用した投資が心穏やかに続けられるのかなと感じています。
各セクターETFがありますが、私としては、VTIやVOOをメインにしつつ、プラスアルファで特定のセクターを少し増やしたい時にトッピングするくらいで利用するのがちょうどよいのかなと考えています。
個別銘柄にしても、ETFにしても、投資先がどこかのセクターに偏りがないか、偏っていたとしてもそれをしっかりと自分で認識しておくことが大切かと思います。
以上。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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